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足元がふわふわと心地良い。
酒のちからは偉大だ。嫌なことを忘れられるし、楽しい気分になる。
大声で笑いたいような、ウキウキとした心持ちで、俺は繁華街の路地裏を歩いた。
店の裏口が立ち並ぶ、細い路地裏だった。
そこに、ビールの空きビンが入ったカゴが積まれているのが目に入る。
俺は何気なく、そのビンを一本、抜き取った。
茶色のビンが、大通りから漏れてくるネオンを反射して、キラリと光る。
俺はそれを振り上げて、手近な壁に叩きつけた。
ガシャン。
ガラスの割れる音が響き、俺は笑った。
もう一本抜き取り、今度は上司の名前を叫びながらそれを割る。
「ふざけんじゃねぇぞ、クソがっ」
掛け声とともに、ガラスが砕け、俺の気分は昂揚した。
もう一本。
次は友人だった男の名前を叫びながらビンを割る。
気持ちいい。
最高だ。
次は誰の名前を呼んでやろうか……。
新しいビンを手に取って、次のターゲットを考えていた俺の耳に、
「こっちです。変な音が……」
という女の声が聞こえてきた。
普通に考えれば不審な音を聞いた通行人に、警察を呼ばれたのだろうが、酔っている俺はこのとき、俺のことだとはこれっぽっちも思わずに、ただ、破壊衝動に夢中になっていたのだった。
笑いながらビールの空きビンを路地裏で割っている、そんな怪しさ満開の俺に、すぐ傍の背後から声が掛けられた。
「おい! そこのおまえ! なにをしているんだ!」
高圧的な声が俺に向けられた・・・・・・・・鍵村攻めルートへ
「そこのきみ、少し話を伺いたいのですが……」
やんわりと、たしなめる声が俺に話しかけてきた・・・・・・・・鍵村受けルートへ
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