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俺はかすかに違和感を覚える。なにかがおかしい。あれだけライに懐いているエレナが、ライをこんな風に言い表すなんて、どう考えてもおかしい。
「エレナ?お前、今日変じゃー」
「ああ、待った。リヒトとくだらない会話してる場合じゃなかったわ。今9時だけど、9時半にはお父様の使節団がこちらにいらっしゃるから、すぐに着替えて大神官様の執務室に行くようにって。大至急ね。はい、よーいスタート」
エレナの様子に違和感は残るものの、時間もないし忙しさもあり、結局何も追及できないまま着替えを済ませ、執務室のドアを叩いた。
「リヒトよ。今から使節団がこちらに参られる。あちら様たっての希望で、お主とライの2人に案内を頼みたいそうなのじゃが…よろしいな?」
「分かりました。えと…案内って?どこを案内すればいいんです?」
「内容は全てライの方に知らせてある。私としてはお主が案内役に適してるとは到底思えぬから反対なのじゃが、あちら様がどうしてもとおっしゃるので仕方がない。お主は、おとなしくしておれば良い。くれぐれも粗相のないように」
「大丈夫です。ちゃんと役目くらいこなしますから」
「お主はお調子者だから、どうにも心配なんじゃ。それから、ライは門の補修に向かっておるが、お主には別の役割を申し付ける」
「門?どうかしたんです!?」
「昨夜、門が壊されたらしく…まあ、それはお主には関係のないことじゃ」
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