bench time 第3章

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雨は、朝方まで降り季節が確実に一つ進んだ。 まだ秋になった訳では無いが、農家さんの方々は既に忙しい時期に入っていた。 日中は暑いくらいになる事もあるが、朝は冷える。霜が、おりる前に収穫が始まる。 それにつれ自分の会社も徐々に忙しくなっていった。 大量の農作物の収穫。畑だけでなく普通の道路までそれを感じさせる光景。大きな農作業機、農作物を運ぶ大きなトラックが頻繁に行き交う毎日。自分もそれに同調する様に駆け回っていた。 マコちゃんが仕事で駆け回っている時期、私(カオリ)はボンヤリした日々を過ごしていた。 あの日からずっと…。 今は、割と普通にしているけど何処か心の奥底で不安が付き纏う。 心なしかお酒の量も増えた。 酔っては、マコちゃんやユウさんに強めにあたる。直接ぶつければ良いものを怖くてそれが出来ない。アキさんに言えない、何も。全てが壊れそうで… アキさんが倒れた夜。ほぼ私が、何をしたのか何を言ったのか記憶が無い。 ただ『アキさん』と何度も呼び掛けた様な… 次の日、朝一で病院に行ったけどアキさんは普通だった。病院のベッドで寝てる以外は。いつもの様に優しい顔で声を掛けてくれた。昨晩の事が嘘の様に…     
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