7人が本棚に入れています
本棚に追加
第2章.変貌
そんな彼女への感情は、いつしか
『興味』から『恐怖』へとすり替わっていった。
もちろんそれなりの理由がある。
膠着状態に焦れた私は、
彼女の事を調べてみたのだ。
同じ学校の2年生。そこまでわかっているのなら、
足で稼げば何とかなる。全ての教室に足を運び、
教室に居る子にこう声を掛ければいい。
『あの子知ってる?』
そして得られた驚愕の事実。
『あの子』を知っている者は誰一人として居なかった。
一瞬放心しかけたものの、脳がある可能性を指し示す。
リボンを偽装している可能性。そう、実際には1年生なのかもしれない。
今度は1年生の教室を行脚する。
結果は空振り。まさか、と思い3年生の教室も渡り歩いても、
やっぱり結果は変わらない。
結論。1年生から3年生、
全ての教室で彼女を知る者は居なかった。
よくよく考えてみればおかしいのだ。
あれだけの美少女が、毎時間廊下で
教室のドアにへばりついていれば、
否応なく『あれは誰だ』と気になりだすはず。
そうでなくとも、人間品評が趣味の下種が、
『○年×組の△△が可愛い』と騒ぎ立てるはずだ。
なのに彼女に至っては噂の類も皆無だった。
不意に、背中を冷たい汗がつたう。
もしかして、幽霊?あるいはその手のオカルト的な何か?
そうとでも考えなければ説明がつかない。
でも。仮に彼女がそうだとして、一体私に何の用が?
「……」
視線を感じ振り返る。そこにはやはり彼女が居た。
もはや可愛さなど感じる事なく、ただただ不気味さが肌に纏わりつく。
ねえ、貴女は一体何者なの?ううん、そもそも人間なの?
口に出して尋ねてみても、返事がもらえる事はなかった。
最初のコメントを投稿しよう!