第2章.変貌

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第2章.変貌

 そんな彼女への感情は、いつしか 『興味』から『恐怖』へとすり替わっていった。  もちろんそれなりの理由がある。 膠着(こうちゃく)状態に焦れた私は、 彼女の事を調べてみたのだ。  同じ学校の2年生。そこまでわかっているのなら、 足で稼げば何とかなる。全ての教室に足を運び、 教室に居る子にこう声を掛ければいい。 『あの子知ってる?』  そして得られた驚愕の事実。 『あの子』を知っている者は誰一人として居なかった。  一瞬放心しかけたものの、脳がある可能性を指し示す。 リボンを偽装している可能性。そう、実際には1年生なのかもしれない。  今度は1年生の教室を行脚する。 結果は空振り。まさか、と思い3年生の教室も渡り歩いても、 やっぱり結果は変わらない。  結論。1年生から3年生、 全ての教室で彼女を知る者は居なかった。  よくよく考えてみればおかしいのだ。 あれだけの美少女が、毎時間廊下で 教室のドアにへばりついていれば、 否応なく『あれは誰だ』と気になりだすはず。 そうでなくとも、人間品評が趣味の下種が、 『○年×組の△△が可愛い』と騒ぎ立てるはずだ。 なのに彼女に至っては噂の(たぐい)も皆無だった。    不意に、背中を冷たい汗がつたう。  もしかして、幽霊?あるいはその手のオカルト的な何か? そうとでも考えなければ説明がつかない。 でも。仮に彼女がそうだとして、一体私に何の用が? 「……」  視線を感じ振り返る。そこにはやはり彼女が居た。 もはや可愛さなど感じる事なく、ただただ不気味さが肌に纏わりつく。  ねえ、貴女は一体何者なの?ううん、そもそも人間なの? 口に出して尋ねてみても、返事がもらえる事はなかった。
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