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第3章.逆尾行
焦燥に駆られ始めた私は、強硬手段に打って出た。
逆尾行だ。彼女が私を尾行し始める前に、
彼女の存在を捕捉する。
そう心に決めた私は、その日朝6時に家を出た。
そして私は、より強い恐怖に囚われる事になる。
朝の6時だ。私の家から学校まで歩いて15分。
今から登校しても当然学校は開いてない。
なのに。玄関の扉を開けた時、
すでに彼女は電柱の陰に隠れていた。
なんで?どうして?一体いつから?
疑問符の波に襲われる。まるで意味が分からなかった。
普段私が家を出るのは7時半。
なら彼女は、毎日最低でも1時間半、
家の前で張り込みを続けていた事になる。
「なんなの!?一体何が目的なのよ!!」
思わず大声を張り上げるも、彼女は沈黙を貫き続ける。
頭に血が上った私は、地面を蹴って駆けだした。
彼女は逃げる。トロそうな印象とは裏腹に、
その足は酷く速かった。
結局私は、その背中に近づく事すらできず。
疲労で地面に膝をつき、肩を上下させながら、
それでも前方をきっと睨みつける。
そこには、やはり。
『あの子』が、こちらの様子をうかがっていた。
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