第5章.明かされぬ謎

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第5章.明かされぬ謎

 謎のストーカー少女。警察に補導されて決着。 どうやらその筋書きは、あまりに甘過ぎたらしい。  あの子は確かに捕まった。 でも、彼女は警察を前にしても一切口を開く事なく。 身元を証明する物も何一つとして 持っていなかったからだ。  制服からあたりをつけたのだろう、 警察は学校に連絡した。 やって来た教師が語り掛けても、 やはり少女は口を開かない。 ただ、呼び出しに応じた教師は 写真付きの名簿を持ってきていた。  彼女の情報は、その中に、ない。  こうなると警察もお手上げだった。 平日の朝学校に行かずうろついている、 それ自体は確かに問題だろう。 しかし、別に罪を犯したわけでもなく、 ただ家をじっと見ていただけ。 さらにそれを裏付ける証拠は私の発言のみ。  年齢も、通う学校も、身元も何もわからない。 呼び出された教師は 「うちの学校の生徒ではないようなので」 と残してそそくさと帰ってしまった。  結局補導こそされはしたものの。 警察は厳重注意だけで少女を解放してしまった。 「次、何か被害があったら連絡してください」  なんてお決まりの台詞を残され、 私は膝から崩れ落ちる。  ああ、私はどうすれば。彼女から解放されるのだろう。
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