お礼

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「あ、電車、来るみたいですよ」 もう目と鼻の先にある駅で、電車到着のアナウンスが流れている。 行きましょう!と先に走り出した、奴の尻は、正直好みだったかもしれない。 見るだけなら、アリだな。 「ちょ、まてよ」 どっかのものまね師見たなセリフを吐いて後悔しつつ、あとに続いた。 電車は満員で、おちおち話もしていられなかった。通勤ラッシュには何年たっても慣れはしない。特に帰りは人の疲れたオーラと疲弊した匂いで気分が悪くなる。 と言っても、その一人なのは間違いないから、文句は言えない。 と、いつもはグダグダ思うのだが。 隣から、やけにいいにおいが漂ってくる。気のせいか、奴の周り人間の表情が穏やかな気さえする。 美味しそうなにおいとかではなく、すっきりさわやかなオレンジ、いや、レモン?シトラスと言われるような匂いだった。 彼を見ると、目が合って微笑まれた。きゅん。
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