彼との会話

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「先輩!」 やっている仕事が違うので、普段はあまり会話などしないが、喫煙室から出たところで彼が声をかけてきた。周りに誰もいないし、多分、俺だろう。 「おお、何だ?」 ちょっとだけ格好をつけて男らしさを強調してみる。別に女子と話すわけではないのに、自分より数センチ高いこいつにも見栄を張る自分が恥ずかしい。 「間違えてブラックコーヒー買っちゃったんで、飲んでもらえませんか?」 女子か。差し出された缶コーヒーとは別に、甘そうなカフェオレを持っている。しかも、この時期にホット。冷えが気になるお年頃か。 「お、おお。いいよ」 これが例えば別の奴なら、甘えんなで済む話なんだろうが。俺はポケットから小銭を出して、渡そうとする。 が、彼はコーヒーを持った両手をフリフリしながら、眉を下げて首を振った。 「ええ!いいですよ!間違えたの自分ですし、もらってください!」 「そんなわけにはいかないだろう。俺のが先輩なんだから」 「ええー、でもー」 女子か。
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