彼との会話

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俺は小銭を彼のスーツのポケットに押し込んで、缶コーヒーを取り上げる。 そのまま、プルタブを引き、口をつけた。まだ熱い。せっかく煙ですっきりした頭がまたもわっとしそうだ。 それでも俺の中の見栄センサーは強く働いて、ぐっと飲み干す。空になった缶をボックスへすとんと落とすと、彼はじっと俺を見ていた。 胸のあたりに両手でカフェオレを抱いて。 「先輩、かっこいい。彼女さん、幸せ者ですね」 「馬鹿言うな。彼女なんかいねぇよ」 彼女はいない。事実だ。もう2年くらい一人だ。 すると、彼は心底驚いた風を見せた。ぐっと顔を近づけてくる。 「ええーっ!?先輩、すごいかっこいいのに!僕、ずっと憧れてるんですから!」 「おまえ、気持ち悪いことを言うなよ」 とは言いながら、ちょっと耳が熱くなったのは秘密だ。 「じゃあ、僕、皆に先輩のことプレゼンしときますね!いい男が余ってるよって!」 「余ってるっていうのは、素直に喜べんが、まあ、わかった」 彼はありがとうございました!と言って、ぺこりと頭を下げた後、部署に戻っていった。
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