第二章 横尾 春樹

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「横尾さんのご家族ですか?お話ししたいことがありますので一度ご家族で病院にお越しください。」 何かあったのだろうか、お父さんの仕事場に電話し、お父さんが家に帰ってから病院に行くことにした。 「なにかあったんですか?」 お父さんは息を切らしながら医者に聞いた。 「和子さんはひどく心が病んでおり一部の記憶がございません。その記憶が春樹さんの記憶です。私たちでもなぜかはわかりません。」 僕は寝ていたお母さんを無理やり起こし話しかけた。 「お母さん!僕だよ、春樹!わかる?」 お母さんは僕やお父さんの顔を見て言った。 「あなた、見舞いに来てくれたのね。それよりあなたの隣にいるこの子誰?」 僕は少し固まった後病室を出て家に向かってひたすら走った。 ああ、もう死のう。もういいよね、僕は生きてく価値がない。 無我夢中で走っていると家の前に着いた。そして縄を用意し天井に引っ掛けるところがあったのでそこにかけ椅子の上に立ち首を縄にかけ、 「今までありがとう、そしてごめんなさい」 僕は力強く椅子を蹴った。 すると、首が強く締め付けられ目の前は真っ暗になる。 しばらくすると、どこからか声が聞こえる。 目を開けると、 いつもの家、お母さんが弟をあやしてる。 お父さん、お母さんの手伝いをしながら楽しそうに笑っている。 弟の風太、眠たそうにウトウトしている。 あぁ、僕もこんな家族に生まれたかったな~。 来世は楽しい家族でありますように・・・
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