明るいモンスター?

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 部屋に戻ってきた二人を見たルヴォルスとリリンは、はて、と首をかしげた。ライの顔色があまりよくない。 「……何かあった?」  ルヴォルスは心配になってそう聞く。 「ボク、もう休むから……話しちゃっていいよ」  相棒の癖を真似るかのように肩をすくめ、そそくさとベッドに潜り込む。  それを見たロベルトは少し安心した。話していいということは、二人を信用しているということだ。相棒が友人を信用してくれるのは嬉しい。  忘れたくないもの、の中にこの二人も入っているだろうことが窺えて、何だかくすぐったいような気持ちになった。  しかし今は喜んでばかりもいられない。きちんと話をしなければ。 「不味いことになった」  重々しく口を開くと、食堂でのことを話し始めた。  そして全てを聞き終えた二人は、驚きに息をのんだ。まさかそんなことになっていたとは思ってもみなかったのだから当然だろう。  本人がへらへらと「年のせい」なんて言うものだから、てっきりそういうものなのだろうと思い込んでいた。  それがこんな大ごとになっていたなんて。通りでライの顔色が悪いわけだ。 「そんな、…………」  リリンが泣きそうに顔を歪めながら呟く。思わず修行のことを忘れそうになり、慌てて頭の中で祈りを唱える。 「進行性のものなのか、それとも一時的なものなのか……ロベルト、分かる?」  眉間に皺を寄せたルヴォルスが訊ねるが、ロベルトは首を横に振った。 「俺も、こんなことになるとは思わなかったからな……悔しいが何も。どうにかしたいのは山々なんだけど」  もし進行性のものならば、事態は非常に深刻だ。いや今も深刻は深刻なのだが、それ以上に。  記憶が消えていくという状況が続けば、冒険どころではなくなってしまう。下手をしたら仲間どころか自分自身のことすら忘れかねないのだ。 「問題過多すぎるよ……何でこんなにトラブルばっかり……」  あああ、と嘆くルヴォルスの肩に、リリンがそっと手を置いた。 「リリン……」 「今に始まったことじゃないよ。元々ロベルトは問題吸引体質なんだから」 「え、俺?」  自分を指差して首をひねるロベルトに、ルヴォルスは「そういえばそうだった」と、より一層肩を落とすのだった。
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