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7月の後半、写真部に復帰した私は、作品展の準備に追われていた。
「一眼レフってなに? って訊いて来た子の写真とは思えないね」
写真部の部長はパネル張りした私の作品を眺めながら、唸るように言った。
私の6枚の作品のうち、4枚は、あの雨の日に、修一と一緒に撮った写真だ。
私の自慢の作品なのだ。
「なにしろカメラが良いですからね」
「さすがライカ」
「否定しないんですか、ひどい」
拗ねる私に部長も先輩たちも笑った。
「戻って来てくれて嬉しいよ。夕夏ちゃん。何か……本当に、うれしい」
部長が言うと、この作品展を最後に引退する3年生や、同じ学年の仲間を失った2年生の部員が、皆パネル張りの手を止めて、こちらを見た。
「もちろんです。修一に、写真の面白さを伝授されましたから」
私がガッツポーズで笑って言うと、皆優しい笑顔で頷いてくれた。
込み上げるものがあったけれど、もう私は泣かないと決めた。
絶対に笑顔でいる。そしてもう何も忘れようとなんてしない。忘れるなんて、とんでもないことだ。勿体なさ過ぎて、涙が出る。
私はとても、欲張りなのだ。
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