episode.0 あるべき場所へ

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 ──頭が朦朧として来た。あとどのぐらい生きていられるだろう。  霞む視界の中で見える血の量からしても、ああもう死ぬんだろうなぁ、とは、自覚していた。  この目でせめてその瞬間は見たかったなぁ、などと、今更ぼやいてみたところで状況は変わらない。彼がどっちを選ぶかは判らない。  自分が気を失って、それから命が消えるまでの間が、どのぐらいあるかは不確定だ。今まで体験したことなんかないのだ──当たり前だが。だからせめて意識がある間に、と、都合のいいことを考えていたので。 「──あー……」  幻を見ているのかも知れない、と思った。  ……泣いている。ぼろぼろになって。彼の場合はいくら血を流したって死にはしない。確かにそうだけれど。それにしても遠慮がなさ過ぎないか。あいつらは、生け捕りしないと意味ないんじゃないのか。死んじゃったら生き返らないんだぞ。いくらなんでも。ああ、いいのか、死なないと判ってるから遠慮なく鉛玉ブチ込むのか。厄介だ。 「ねえさん……」  声が出せるということは声帯はやられてないらしい。  いやそれ以前に。 「……まだ、姉弟ごっこ、するんだ……」     
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