episode.0 あるべき場所へ

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 こっちも同じだ。話せるだけのエネルギーはあったのか。  不思議なもので。声を出したら少しだけ意識がはっきりした。最後の花火かも知れないのだけれど。  だから。  視界の中で、彼の目が、ぎらぎらと血走っているのが見えて。  ──安心する。 「最終処分セェール、ですよー」  のんきに伝えておく。 「もうここから数分が多分ラストチャァーンス」  ああもう無理かな。そろそろ。  と思った時に、ひどく熱い吐息が近づいて来るのを感じた。視界はもうダメ。でも耳と触感はもう少し生きてる。だから安堵する。きっと。  やっとお役目を果たせる。果たして、死ねる。元々、果たしたら死ぬしかなかった命だから、それはいいんだけど。 「ごめんっ……ごめん……なさい……」  泣く必要はないんだ。だって君がそうしたいと言ってくれたから。  そうしたいと言ってくれなかったら。きっと死後「先代」たちからタコ殴りにされるに違いなかったのだ。  仕事を放棄して。次世代も残さずに。全部放り投げて逃げ出したと誹られるに違いなかったのだ。  だから。  ──これでいい。     
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