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確かに血は吸わない。舐める、に近いのか。その瞬間彼の体が──そう、まるで快感に撃ち抜かれたみたいにびくんと震えるのを感じて。気づく。覆いかぶさられている。体の表面のかなりの部分が密着してしまっている。
なるほど効率がいい訳だ。どっちも傷だらけだから。そんなことをぼんやり考えた直後に。
「──っあああっ!!」
死にかけとは思えない絶叫が体から飛び出した。脳が解釈を拒否していた「痛み」が全身を駆け巡って、内側から超高速の鋭利な刃物で体じゅうをずたずたに切り裂かれたように感じて、
ぶつりと。
意識が途絶えた。
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