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episode.1 再会
ざりざりする砂埃の上に横たわるのは快適ではないけれど、それでもまだマシだと思った。
森の中にいた頃は泥か土しかなかった。頑丈な枝が見つかればラッキーではあるけれど、街と適度な距離を保っているような森林は大抵の場合そこまで大きな枝は残ってはいない──登れるような場所には。道具があればもっと上まで行けたんだろうけどそんなものはなかったし。
周りに人が住んでいないとヤツらの遠慮がなくなる。それだけ焦って来ているのかも知れないけれど。過激になればなるほど、いたたまれなくて、結局街に降りて来ることになった。
周りに人がいれば、少なくとも火炎放射器で焼き払ったり散弾銃をばら撒いたりする連中はいなくなる……らしい。まだ短い期間の経験則でしかないのだけれど。
この辺りはあまり高いビルはない。住宅が主で、見渡せば遠くの駅の近くにマンションが見えるけれど、でも歩くとちょっと疲れるのかなという距離だ。この辺りでは今寝そべっている3階建ての雑居ビルが一番高かった。
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