episode.1 再会

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 でも背に腹は代えられない。仕方ない。  そう、諦めた直後に。 「──なるほど塔屋の上ね」  びくりとした。あからさまに体が跳ねた。  ざりざりが音を立てるぐらいに。 「……っ」  まずい。反射的に体の動きを止めようとして。自分の呼吸音がうるさいと感じてしまった。 「ヘマタイトとアパタイト。こいつらが『動く』時って、ま、そーいうことなのよね」 「……?」  立ち上がる音がした。細い椅子の足が鳴って。足音はサンダルか何かのようにぺたぺたしている。 「私の所にいるヘマタイト──赤鉄鉱は血に反応する。直接的にね。パワーストーンなんてお守りみたいに用いられる時はもっと『健全』なんだけど、こいつはちょっと…どちらかと言うと血に飢えてる危ないヤツみたいな性格だから」  明らかにこっちに向かって喋っていた。  バレて、いたのか──いつから。どうする気だ。あいつらを呼び戻す気はなさそうだけれど。  動けない。相手がどう出るのかまるで読めない。  というかそもそも誰だ。直接顔を合わせてはいないはずだ。それでも、こっちの正体を知っているのか?     
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