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 コートネア市南部住民区は廃墟になっていた。  それもそのはずだった。大きな力と大きな力が二つぶつかっている。  住民はすでに避難している。死闘は続いていた。 「ダークメサイアああぁぁぁっっっ!」 「オルフェンッッ!」  中空で光りと剣と闇の剣が交差し、光りと闇のプリズムを生んだ。  両者はそのまま体勢を崩さず地面に着地する。  戦っているのは、魔王ダークメサイアと勇者オルフェン。  光と闇の違いはあるが、互いに種族を代表するカリスマである。  オルフェンはコートネアの勇者。レベルが38ある。光の剣ジェムライトニングを持つ。攻撃力の高い聖剣だ。店では買えずモンスターからもドロップできず、危ないダンジョンの中にしか存在しない一刀。  ダークメサイアは世界の征服をたくらむ魔王だ。勇者が強くなり、部下には手がおえなくなった。ボスが自ら出向き勇者と戦っている。手にする魔剣の銘はフリージェノサイド。代々暗黒に染まりし者に引き継がれきた闇の剣。  オルフェンは肩で息をついていた。今年で20才である。とび色の瞳にくせっ毛、だが意思の強さを感じさせる眼差し。若く女の子の人気が高そうな顔つきであった。この若さで、魔王と張り合うことができる勇者。
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