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「ローフィ! これは何だ! なんというおいしさなんだ! ほかほかの五目ご飯! あと、なんと言ってもこの牛肉! 柔らかくて口の中でホロホロと、舌で切れるくらい柔らかい! こんなに美味しい物がコンバットレーションな訳が無い! 日本国の事を、僕が何も知らないと思って嘘をついているだろう!」
智樹は驚いているノーリの姿を見て、イラクでアメリカ兵の友達に、レーションを食べさせたときの事を思い出した。
あの時も友達は、今と同じ反応をしていた。
「嘘なんかついてねーよ! これはれっきとした自衛隊の戦闘糧食だ! 言っただろ? 世界に誇れる物の一つだって!」
智樹は興奮して、「これも研究するぅぅぅぅ!」と叫んでいるノーリを見ながら戦闘糧食を食べていると、少しだけ日本の事を思い出してしまった。
そんな事が繰り広げられた数日後、日課のミルクを買いに来ていたノーリに呼ばれ話をしていると、「先日、王様にお前の事を報告したら、是非会いたいと言われたから今からいくぞ! あ、お前は戦闘機で来い!」と、突然国王の元へ行く事になったのだ。
しかも戦闘機で。
「待ってくれ! 離陸はここの牧場の広さがあれば充分出来るけど、着陸はどうするんだよ! 降りれないぞ?」
ノーリはあっけらかんとした顔で、「王国軍の基地が隣接されているから、そこに降りろ!」と当たり前のように言い出した。
「わ、わかった!」
智樹は、いかにも普通にノーリが言ったので、その言葉に圧倒されてしまった。
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