異世界の空へ

2/3
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/57ページ
 智樹が乗っている三菱F-2戦闘機、愛称バイパーゼロは、1995年に初飛行が行われ2000年に部隊配備されたばかりの最新鋭機だ。  そのF-2戦闘機(バイパーゼロ)は勢いを落とさず、巨大な雲の中に入っていった。 「ここまで大きかったら雷とか怖ぇぇ!」  智樹は巨大な雲の中を、機体に落ちる雷を気にしながら突き進んでいった。 「でかい雲だけど雨雲っぽくないから大丈夫だろう!」    落雷の危険が無いと安心しながら飛んでいると、急に機体のコントロールが利かなくなった。 「おい、マジかよ! こんなところで乱気流に飲まれた!」  智樹は以前にも、長距離演習中に乱気流に巻き込まれた事があったので、瞬間的に状況の把握が出来た。 「メーデー、こちらローフィ! 乱気流に巻き込まれ、これから巡回ルートを大きくはずれトルコに緊急着陸する! 回収を求む!」  智樹が基地に緊急避難信号を送っても、聞こえてくるのはキャノピーを煽る轟々とした暴風音だけで、基地からの反応はなかった。  その後も、何度も基地へと緊急避難信号を送ったが連絡は返ってこず。  智樹が楽天家の性格のせいか、「事後報告でなんとかなるっしょ!」と、言うテキトーな判断で行動を取る事を決めた。 「メーデー、メーデー! クッソ、これよりトルコに緊急着陸する!」     
/57ページ

最初のコメントを投稿しよう!