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Dawn of the assassin
「八百万教(やおよろずきょう)の指導者バズという男を殺してほしい。報酬は1万クレラ」
「いいだろう」
1クレラは日本円で約100円、つまり約1ドルだ。報酬100万円の仕事、悪くはない。
八百万教とは、ここアストラル国に最近信者が増え出した多神教だ。
アストラルはヤー教という一神教を国教とし、それは唯一の神のみが救いをもたらすというものだ。
対して八百万教は、天上どころか、ありとあらゆるもの、それは人間も含む、が神となると説く異教だ。今、俺が着ている服すら神が宿るとされる。
そんなものをヤー教が認める訳がない。そして当然ながら、
「依頼主は教えられない。お前が知る必要はない。仕事だけやってくれれば、報酬は惜しまん」
と言われる。俺は誰が八百万教に恨みを抱いているか、どうでもいい。俺は暗殺者、アサシン。結果を出すまでだ。
「始末し終わったら、夜、マヌー亭の奥の席にいろ。くれぐれもしくじるな」
「しくじる? 何の冗談だ?」
「そうだな、アサシン・カイン。その名を信じて成功の知らせを待っとるぞ」
そうして速やかに依頼代理人は姿を消した。
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