Dawn of the assassin

1/2
2人が本棚に入れています
本棚に追加
/2ページ

Dawn of the assassin

「八百万教(やおよろずきょう)の指導者バズという男を殺してほしい。報酬は1万クレラ」 「いいだろう」  1クレラは日本円で約100円、つまり約1ドルだ。報酬100万円の仕事、悪くはない。  八百万教とは、ここアストラル国に最近信者が増え出した多神教だ。  アストラルはヤー教という一神教を国教とし、それは唯一の神のみが救いをもたらすというものだ。  対して八百万教は、天上どころか、ありとあらゆるもの、それは人間も含む、が神となると説く異教だ。今、俺が着ている服すら神が宿るとされる。  そんなものをヤー教が認める訳がない。そして当然ながら、 「依頼主は教えられない。お前が知る必要はない。仕事だけやってくれれば、報酬は惜しまん」  と言われる。俺は誰が八百万教に恨みを抱いているか、どうでもいい。俺は暗殺者、アサシン。結果を出すまでだ。 「始末し終わったら、夜、マヌー亭の奥の席にいろ。くれぐれもしくじるな」 「しくじる? 何の冗談だ?」 「そうだな、アサシン・カイン。その名を信じて成功の知らせを待っとるぞ」  そうして速やかに依頼代理人は姿を消した。
/2ページ

最初のコメントを投稿しよう!