Dawn of the assassin

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 アサシン・カイン。俺の、いわゆる裏の世界での通り名だ。  俺の本名はケイン。地球の南米を主な活動拠点としていた殺し屋だ。  2年前、朝起きると、この異世界の荒野に横たわっていた。起きた早々、 「兄ちゃん、金目のもの置いていきな」 と、中世にあるようなナイフで武装した野盗に絡まれた。状況は訳分からんが、体はこんな時の対処法をバッチリ覚えていてくれた。  数は10人。30秒で片が付いた。  まずは正面の奴の腕を捻りナイフを奪い、体術で殴り蹴り投げ飛ばしながら、ナイフで一撃で仕留めていった。  この世界の追い剥ぎもたかが知れてる。そう思わずにはいられなかった。  奴らの装備、まぁナイフ程度だが、暗殺で慣れた武器だから丁度いい。野盗の1人の服を上手く袋に仕立てて、全員のナイフを入れ、ついでに貨幣らしきコインも全部貰っておく。  それから十数時間歩いていると、運良く遊牧民のキャンプに辿り着き、さっき野盗から奪ったコインと交換で、水、食料、周辺の地図を買い込み、一泊の寝床を用意してもらった。 西へ3日ほど歩けば町に辿り着くと聞いたので、夜明けと共に長老に礼を言い、キャンプを後にした。  ちょうど3日目に町に到着した。コインはまだ十分にあるが、1枚どれくらいの価値があるか分からない。ここは仕事を探すべきだろう。でないと食事も宿もままならん。  盗賊ギルドというものを知った。遺跡に隠された宝などの仕事が「表」の建前だが、「裏」は法に触れる仕事を斡旋(あっせん)してくれる、光と闇、両方の側面を持つ組織だ。  俺は「裏」のにおいを見逃さず嗅ぎ付け、巧みな交渉で、ひとまず簡単な仕事をもらう事に成功した。  町の衛兵隊長の暗殺。ふっ、俺にピッタリすぎて、聞いた時は心でほくそ笑んでしまった。  何でも隊長は徴税と言いながら、その実、私腹を肥やしていた。それに不満を持った町人からの依頼だそうだ。  俺の返答は決まっていた。 続く。
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