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「あああ! あああああああああああッ!! 殺す! 殺してやる!!」
絶叫をあげながら掴みかかったその手は――しかし博士の首をすり抜けた。
えっ。
なんで……?
一瞬、怒りも忘れて呆然とする。そんな僕の耳に届いた博士の言葉が、僕を絶望へと突き落とした。
「なるほど。幽霊は出現するのか」
幽霊? どこに?
いや、答えは分かっていた。分かりきっていた。
だが、心が受け入れなかったのだ。
ああ、でも。
いくら拒絶しようとも、視界に入る僕の手足は、確かに半分透けていた。
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