0人が本棚に入れています
本棚に追加
【◇月〇日】
明日、僕は思い切って君に告白してみようと思う。
夢の中ではあんなに簡単なことが、現実だとこんなに難しいんだね。
君は何て答えてくれるのかな。
昨日の夢の中では、君は泣きながら喜んでくれたね。
一昨日の夢の中では、素っ気ないふりをして、後から連絡先を教えてくれたね。
一週間前の夢の中では、君の方から告白してくれた。
だから、今回は僕から告白する。
だって夢の中では既に、僕らは愛しあっているのだから。
【◇月×日】
医者は嘘をつく。
僕は妄想にとりつかれてなどいない。
だって君はそこに実在するし、手を伸ばせば触れられる。君は妄想の産物なんかじゃない。
毎日君は、僕の夢の中まで遊びに来てくれて、誰にも話せない心の内を明かしてくれる。君は妄想の産物なんかじゃない。
君は毎日、僕の乗る妄想の産物なんかじゃない電車に乗って、僕に会いに来てくれる。だから君は妄想の産物なんかじゃない。
君は毎日、妄想の産物なんかじゃない僕の、妄想の産物なんかじゃない夢の中へ遊びに来てくれる。だから君は妄想の産物なんかじゃない。
妄想の産物なんかじゃない僕の手を伸ばせば、妄想の産物なんかじゃない君に触れられる。
だから僕は、今日君を抱きしめる。
医者は嘘をつく。
君は妄想の産物なんかじゃない。
僕は妄想にとりつかれてなどいない。
君は妄想の産物なんかじゃない。
君は妄想の産物なんかじゃない。
だから僕は、君に恋をする。
妄想の産物なんかじゃない。
君が妄想の産物なんかじゃないことを証明する。
君は妄想の産物なんかじゃない。
君は妄想の産物なんかじゃない。
君は僕に、恋をする。
名前の知らない君に。
妄想の産物なんかじゃない君に。
君は妄想の産物なんかじゃない。
最初のコメントを投稿しよう!