第2章~生と死の狭間~

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第2章 生と死の狭間へ……  それから一週間後のことだった。九月は半ばを過ぎ、終わりがけに差し掛かろうとしていた。その日も雨が降っていた。どうやら台風が近づいているらしく、日に日に風も強くなっている。そしてその日も亜理紗は寝坊し、大急ぎで学校へと走っていた。車は道路を猛スピードで駆け抜け、時折びしゃんと雨水が歩道へと跳ね飛ばされていた。急いでいた亜理紗のセーラー服へ、そんな泥水が飛び、スカートは運悪くぐっしょりと濡れてしまう。突然の冷たさに驚いて立ち止まるが、スカートは徐々に染みを広げていく。ただでさえ雨で辺りは冷えているのに、濡れてしまったスカートからさらに冷たさが体に伝わってきていた。 「はぁー……」  なんだか今すぐ帰りたい気持ちに駆られ、亜理紗は大きくため息をついた。しかし行くしかない。ため息をついたまま、やや下を向きながら横断歩道へと数歩歩き出した時だった。キキーッ! とすぐ横でブレーキ音がし、大きな衝撃が亜理紗を襲った。体が吹っ飛ばされ、ふわっと空中を舞った気がしたのもつかの間、亜理紗は強く地面に叩きつけられた。途切れそうになる意識と感じたことの無いレベルの痛みの中、力を振り絞り、なんとか目を開けてみる。目の前に、水たまりがあった。水たまりに映る、倒れた自分。その自分と目が合い、それをきちんと見る前に亜理紗の視界がぐらりと傾き、世界は真っ暗な闇に包まれた。そして亜理紗は、眠るように意識を失った……。
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