吾輩はニャーである。名前はまだ無い。

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昼休みが始まったのだろうか。人間たちが明るい声で外に出ていく。竹本殿はぱそこんを見つめて固まったままだ。先程から見ている限り休憩も大してとってはいないようだった。せいぜいたまに水を飲む程度。見ているこちらが不安になる。……やはり顔色が良くない。涼香殿のことはもちろん気になるが、このようでは竹本殿のことも気になるではないか……! 吾輩が身悶えしていると、聞き覚えのある声が聞こえた。 「先輩、あの……」 涼香殿、と無意識のうちに尾がぴんとなる。 「……白木、か。なんだ、昨日のことまだ気にしてんのか」 「だって、」 「……もういい。さっさと飯食ってこい」 竹本殿が涼香殿に背を向ける。 「先輩は?食べないんですか?」 「……いい。これが終わってから食う」 「そうやっていつも食べてないじゃないですか!」 「俺のことなんて放っておいてくれ!」 強い竹本殿の言葉にそんな、と涼香殿の声が聞こえた。見れば心配そうに眉根を寄せている。対して竹本殿はひどく不機嫌な様子。女性が折角誘ってくれておるのに何たる態度か。前々から思っておったが女性に対する態度がなっておらぬぞ。吾輩はぷんすか怒る。と、その時吾輩は竹本殿に掴まれた。……痛い。どうやらこの御仁、ぬいぐるみふぁーすとを知らぬようだ。
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