吾輩はニャーである。名前はまだ無い。

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『結果上手く行ったみたいで良かったじゃないか』 とりふ殿が気分良さげに足をぱたぱたさせる。 『みりーはまだゆるしてないの。なんでけちょんけちょんになってないの』 『それは……』 『そりゃそっくりさんで、おんなじ名前だもん。こうくん』 餅殿がニヤニヤと笑って吾輩をつつく。情が移っちゃったんだよねえ。それに吾輩は黙り込む。そっくりさんというのには異議を申し立てるが、こう毎日のように言われてはいちいち否定するのも面倒なのだ。……はあ、慣れほど恐ろしいことはない。 あの後、名誉の負傷で気を失っていた吾輩に代わり、餅殿が涼香殿から聞いた話によると竹本殿、竹本光樹殿は過労で倒れたそうだ。ご飯も食べないで仕事ばかりしてるから、と涼香殿は心配しながらもぷりぷり怒っておられたそうだ。 『まあまあ、いいじゃないか。そのおかげで今日はお家デートなんだろう?』 涼香殿は先程から台所で何かを作っておられる。曰く、先輩は見てないと全然食べないから、私が食べさせてあげます、だそうだ。うーむ、涼香殿は淑やかな見た目に似合わず押しが強い。やはりあのみりー殿の主殿である。……くわばらくわばら。 『そういえば、こうくん。アンタ、リボンは……』 ああ、あれは、と吾輩が答えようとした時、ピンポーンと軽快に音が鳴った。
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