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「だっからさぁ~、もう、何て言うの? こう、ふわふわのモコモコ? みたいな柔らか~い感じなわけ。しかも、どっか神々しいって言うの? こう、守ってあげたくなる感じっ! そう、それよ。今流行りの癒し系ってヤツ! そう、それでいこう!」
「だからさ~、ふわふわは何となくわかるけど、モコモコって何? 意味わかんないんですけど」
「あ~、もうぶーか、お前はロマンチックさが足んねぇよ。それでも女か?」
「あんたにあげるロマンチックなんてないし」
と、時は移り、翌日の教室。
太陽の光を受けて輝くオレンジ色の髪が先ほどから自分で自分を抱きしめたり、祈りを捧げるような格好を机の上で取ったり、実に忙しなく動いていた。
そして、それに付き合わされている少女が一人。黒い艶のある長い髪を高い位置で結わい、ピンク色のシュシュで一括りにしている。彼女の名前は望月風花。純一郎のクラスメイトである。朝からずっとこんな調子で延々と純一郎の話は同じことをループしている。
「てゆーか、私、風花だから、ふ・う・か。ったく、何回言えばわかるの」
憎々しげに頬杖ついてみるが、当の本人は全く聞いていない。完璧無視して窓の外に向かって両手を広げている。
「あ~、世界って何て美しいんだっ!」
と、キラキラ目を輝かせながら。
この男はどうして飽きないのか、と風花はため息をつく。
そこへ、
「風花、お弁当食べよ~」
と、隣りのクラスの女生徒がやって来た。そして彼女も純一郎の様子に気付くと、
「あれ? もしかしてまた?」
「そ、また。」
慣れたものである。
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