ラブストーリーは突然に。

6/12

5人が本棚に入れています
本棚に追加
/91ページ
そんな純一郎に風花はにやりと笑う。それから純一郎の方へ体を向けて座り直すと、落ち込んでがっくし肩を震わせている彼に、 「だからさ、」 と風花が言いかけた。 ガッ!!! 「せめて最後にもう一度っ! 彼女に会うまでは諦めきれんっ!」 机に右足をかけてそう拳を突き上げると、 「想いはめぐる、犯人は現場に戻る!」 驚いてイスから落ちかけている風花を見たと思ったら、 「俺は愛の狩人なのだからっ!」 と、誰も呼んではいないその恥ずかしい呼び名を堂々と叫びながら、教室を飛び出して行った。 「あ、ちょ、、」 呆然とした風花をその場に残して。 「…っもう!」 風花はイスから立ち上がり、行ってしまった純一郎に向かって一言。 「鈍一郎なんだからっ!」 その可愛らしい頬を赤く染めながら叫んだ。 そう、恋多き男に恋をしてしまった女ほど、可愛らしいものはない。
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加