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「まさか飲むのっ!?」
「ち、違うよ!? 料理酒として使うんだ!」
そう説明され、あっさりと納得する。
直己ならさもありなん……と、そういうことだ。
「あぁ、料理に……」
「うん。ずっと料理用に葡萄酒が欲しかったんだけど、買うとかなり高いでしょ? だからこの葡萄で作ろうと思ってさ。デミグラスソースを初めとした、各種ソースを作る時にも必要だからね」
「……でも、お酒なんて自分で作れるものなの?」
「簡単だよ! 葡萄は果汁を皮ごと搾って放っておけば、勝手にお酒になるんだ!」
「そうなの!?」
「うん、採りたての加熱処理されていない葡萄はわざわざ手を加えずとも、酵母菌が皮に付着しているんだ。それゆえ簡単にお酒が造れるってわけさ」
「よくはわからないけど、なんとなくはわかったよ!」
本当はよくわからないままではあったが、話の腰を折らないようエレーナはそう言ったのだった。
直己は続ける。
「だけど今回は、発酵を更に早めるためにパン屋さんから買ってきた、圧搾酵母を入れるよ」
「圧搾酵母ってパンを膨らませるだけじゃないんだね!」
「うん。……ところでさ」
直己は真剣な表情を浮かべると、恐る恐るエレーナにこう訊ねた。
「この世界でお酒って造っても、平気……? 罪になったりしない……かな?」
「大丈夫だよ!」
直己はホッと、胸を撫で下ろす。
「そっか、ならよかったよ……。 密造の罪で捕まりたくないしね。じゃあ、早速葡萄を搾ろうか! 手伝って貰っていいかな?」
「いいよ! ……でも、その前に葡萄ちょっとつまんじゃ駄目?」
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