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気が付くと目の前には学校のグラウンドが広がっていた。
校舎からは下校を告げる放送が流れてきており、生徒に家路につくよう急かしている。
まさかと思い、ポケットからスマホを取り出して日付を確認する。
と、同時にあり得ない声が聞こえてきた。
おーい、と聞きなれたな声が自分の頭にハンマーで殴られたかのような衝撃を与えてくる。その声に日付を見るのも忘れて震えながらと振り返ると、声の主は手を振りながらこっちに向かってきていた。見間違えるはずがない。何度も何度も見てきた顔なんだから。
幼馴染みだ。
あの日、確かに自分の目の前で死んだ幼馴染みに間違いがない。
動揺を押し隠す様に、視線を落としてスマホの日付を確認する。
そして全てを理解した。
“あの日”に戻ってきたんだと。
余りの衝撃に硬直してしまうが、幼馴染みがどうかしたのかと首を傾げているのですぐに何でもないと首を振る。しかし、頭の中では今まで試したこともない程の速度で思考が廻っていた。
どうすれば幼馴染みを救えるか。
どうすれば死の運命を変えることが出来るか。
それだけが、頭の中で至上命題として上がっていたために、過去に戻った動揺はすぐに消えた。
そして、すぐに幼馴染みを救うために動くことにする。
あの日の記憶が正しければ、この後2人揃って家路につくはずだ。
その時にいつもとは違う道に行ったから事故に遭ってしまったんだ。
なら、いつもと同じ道を通って帰ってしまえばいい。
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