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声を上げる暇すらない。
本当に一瞬の出来事だった。幼馴染みはこちらを守る様に突き飛ばし、自分ははねられた。
血しぶきが舞う。目の前の光景が信じられずに、呆然と幼馴染みを見つめる。
幼馴染みは空虚な瞳にこちらの姿を映し、そのまま目を伏せて息絶えた。
どこか現実感の無いその姿から目を逸らす様に自分の時計を見る。
18時30分きっかり。あの日、幼馴染みが死んだ時間と一緒だ。
信じられない。信じたくないが、現実は目の前に転がっている。
過程は変わっても―――幼馴染みが死ぬという結果は変わらない。
嘘だと叫びたかった。だが、衝撃のあまり声すら出てこない。どうすればいい。どうすれば幼馴染みを死なせずにすむ? そうだ。きっと方法はある。だから、また戻って幼馴染みを救う方法を探そう。
そう思い立つと同時に幼馴染みの時計を強く握り、あの時と同じように願う。
再び巻き戻り―――幼馴染みの死の運命を変えたい、と。
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