まひるのキャスケット 第1話

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CM(声)「全世界騒然、前代未聞の最大級レース、スペースキャスケット!」    スマホをいじる恒河の指が一瞬止まる。 CM(声)「供養したいけどお墓がない。家族のためにお墓を用意したい。  そんなお困りのあなたに大チャンス!レースで見事一着となったご遺族には、  特等地への埋葬、お好きなデザインのお墓、24時間365日送迎付きでのお参りまで!  豪華すぎる特典をプレゼント!宗教や宗派はもちろん不問!  エントリー締切は本日が最終日!詳しくは、スペースキャスケットで検索を!」    恒河はスマホのブラウザに"スペース"と入力する。    だが入力を取り消し、スマホを切る。    眼前の空中をタップし、自分のマイライン画面を開く。 真昼「ゴウじい~洗剤がなくなりそうだよ~」    恒河は通販サイトで食器用洗剤をカゴに入れる。 × × × ○同、仏間(朝)    身支度が終わった真昼は、恒河とチェストの前に並ぶ。    チェストには二つの写真立てと花瓶が並んでいる。    写真に写るのは真昼の父である星出臣大(ほしで・じんだい)と    母の星出真夕(ほしで・まゆ)。    隣に並ぶのは、真昼の祖母、星出真朝(ほしで・まあさ)の若い頃の写真である。     
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