第六章 Town

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 裏道を通って、通りに出たガロ。この通りを越えて、橋を渡ってまずは隣の町まで行こうと考えた。  「寝る場所はどうする?行き当たりばったりかな?さすがに歩道で寝るとやばいかもね。」  マニャックがガロに声をかけた。確かにその通りだ…人目に着く所で眠りこんだら異常な人間と見られて連行されるのが関の山だ…。せめて人目に着かないところで寝よう。  ガロは通りを歩き続けた。車はせわしなく行き交い、通りは中年~高齢者が歩いている。若者は見られない。当たり前だが、学校に行っていたり、大学に行ってたり会社に行っていて、いるわけがないのだ。思い出してみれば、今日は水曜日なのだ…。  ガロは改めて、自分がこの一週間で社会のあぶれ者になったということを実感した。…しかし今は歩き続けるしかない。どんな人生を歩もうが、結局人間は死ぬのだ…  昨日の雨で所々に水たまりができていた。それが太陽の光で照らされて輝いている。どうしてこんな日に天気がいいのだろう…。あの独特の雨上がりのにおいはどうしても好きになれない。腐った人肉のような臭いだからだ…。  いくつかの建物が見えてきた。ブティック、音楽教室、家具屋、スポーツジム、銀行、オフィスビル、その他…。何をやっているか知らない店もあった。心に余裕があれば立ち寄ったかもしれないが、ガロはすべて通り過ぎた。もうさっさと死ぬ以外には用が無いかのように…。何が正しい?良しとされている生き方か?もうそんなのどうでもよくなった…。ただただ、ここオロが、死にたいと要求すてくるのだから、自分にできる死にかたで死ぬ…。  だが本当は、この世の中を呪っていた。あと少し冷静に、時間や未来と向き合うことができたら、彼は死ぬ伊賀外のやり方を見つけられたかもしれない。しかしそれが思いつかなかった今、「何故人間はこんなロクでもない世の中を、何年、何十年、何百年、何千年かけて作り上げてきたのか?何故人間は人類やってんのか?」というところまで考え始めるようになってしまった。社会に染まってしまった人、はたまた生活のためにやむなく社会に参入して毎日こき使われている人、半分染まって半分うまいことやってる人。
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