第六章 Town

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せっかくそれに気づけたんだし、それに気づけるくらいの心と頭も持ってるんだから、人類はもっと地球の役に立つことした方がいいんじゃない?…まぁとにかくガロ、人は好き勝手に生きてるってことだ。人生の在り方なんて色々だよ。だからキミも、好きなように生きるべきよ。やったもん勝ちだぜ?」  「………。」  ガロは静かにそれらの話を聞いていた。人生は自由に生きていい…。なるほどな。  「…人は死んだらどうなるんだ?」  「ん~、ボクが見てきたのだと、人によるんだよね。ずっとこの世界を霊になってさまよってる人もいれば、さらっと天に昇るか地獄の底に逝く人もいる。やっぱり人の数だけ死の場面があるってわけで、しっかり自分の死と向き合うことができれば、死ぬことも本人にとってはそんなに悲しいことじゃないのかもしれないね…。」  …ガロは黙った。もう考える事に疲れを感じた。これだけあれこれ考えると逆にめまいがしてくるくらいだった。  歩き続けてしばらく経ったようで、通りの終着地点である橋が向こうに見えてきた。コンビニには軽自動車やトラックが止まっており、また、車の出入りも多かった。  そう、自分がどんなになったとしても、世の中は昨日と同じ通りに回る。一体どこへ?それはもうこの世の誰にもわからない。人々はただただ金に動かされ、自分を犠牲にして人生を歩んでいく。そして一部の裕福なクソ共は莫大な金をむしり取って逃げる。今日の飯にさえ在り付けない人が地球上には何十万人といるのに。  人間はもう異常な生物と化している。 あれこれと考え事をしながら歩いていたら、いつの間にか橋の近くまで来ていた。川をまたいでいるこの橋を渡れば、隣町に行くことができる。特に何度も言ったことのあるものではないが、もう戻ろうとは思わなかった。車を使わないで、自分の足で歩いて橋を渡るってのもいい経験だ…。今はこの橋の上から川に向かって身投げしようと思わないのは、空腹で死ぬという覚悟が強くなったからか…?  「車もたくさん通ってるから、気をつけないとね。」  「あぁ。」  ガロとマニャックは声を交わした。異常な環境では互いが親しくなるというが、人間と人間、という型にははまらないようだ。余談だが、動画サイトで他種族の動物が中睦まじく接しているのを見ると、生命の神秘を感じると同時に人間の醜さを強く感じる。
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