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背景:ハニカム
天窓を強い雨が叩き、暗めの店内。
木製の丸テーブルと椅子が数脚並び、奥には複数の個室扉と二階への階段。
あらくれ者が集まる[ボトマーズギルド]と呼ばれる酒場兼宿屋。
客らしき人物は、たった一人。
ラサは再び、カウンターで突っ伏した。
メイ:もぅ‥‥ラサってば、ちゃんと目を覚ましなさぁ~い!
先ほどの稲光で顔を背けたラサの後頭部が再度、盆で叩かれる。
そして、窓辺に腰掛けたメイ。
メイ:ねー、ミイ遅いねー?‥‥って、また居眠りぃ?
メイは、足をブラブラさせながら、ぷくりと頬を膨らませる。
ラサ:アーケード街へ買い物行っただけだろ? 心配ねーって。
再度、寝返りを打って、鬱陶しそうに反対側を向くラサ。
メイ:もう‥‥頼りにならないんだから。はい、あーん★
メイは、ラサから興味を逸らし、足元に居た、もう一匹の珍客に干し肉の塊を落とす。
グワッと大顎を開けたのは、人間より二回りほども大きい鰐。
ラサの相棒、墨を被ったのかと思うほど真っ黒なクロコダイル。
その背には鐙のようなものが装着されている。
烏色に鋭い爪、名は体を表す‥‥安直にクロウと名付けられた鰐。
クロウがムシャムシャと咀嚼する姿は、なかなかに怖い。
怒鳴るオヤッサン:オレの可愛い娘が誘拐でもされたら、どうしてくれる、ぁあ!?
ガッシリ体格、日焼けして、ラフな半袖短パン姿、使い込まれた鋼鉄製の斧を腰に下げている。
頭は髪の毛一本無いツヤツヤ、黒い眼帯。自称ダンディなオヤッサン。
メイ:だぁから、エスコートしてあげてって頼んだのにぃ。
また頬を膨らませ、クルクルと表情が変わる。
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