◆弥月25日・風曜

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背景:入り口を見遣ると、大荷物を抱えた小さな影。 ミイ:ラサ、たっだいま~♪ 気のない返事のラサ:おー。  彼はで片手を軽くひらひら、再びカウンターに突っ伏す。 メイ:おっかえり~★  荷物を半分受け取り、互いの左右の掌で。 双子:YEAH~!  ハイタッチ。 メイ:あれ、でも今日は荷物少なくない?  受け取った荷物の半分を覗き込みながら尋ねるメイ、中身は食材や消耗品。 ミイ:あ、そうそう。迷子の仔猫拾っちゃった。で、半分持ってもらったの~♪ 興味無さそうに呟くラサ:‥‥またかよ。 ミイ:あーもう、気にしないで入ってきてよ☆  入り口で所在無げにしていた、もう一人の影の手を取って迎え入れる。  ズブ濡れ、長い黒髪から雨露が落ちる、まさに水も滴る美少女。  非常に特徴的なのは純白の翼、濡れて萎れてしまっているのが残念。  彼女は[空の民レガン族]という種族で、お年頃のハイティーン。  あまり飾らないベージュのワンピース、肩紐の後ろには可愛いクマのリュックサック。  そして、左上腕には見慣れない紋章が描かれた銀製の腕輪。 双子:ウェルカムtoハニカ~ム♪  彼女からも荷物を受け取って、もう片方の手を取り、双子揃って店内へ連れ込む。  そして、手際よくカウンターに荷物を並べ始める。  誘拐の心配は杞憂に終わり、頬を緩ませているオヤッサン。 オヤッサン:おかえり  タイミングを見計らい、最高の笑顔で娘の帰還を喜ぶ親馬鹿。 オヤッサン:後はオレに任せて、三人で風呂いってこい 双子:うん★☆  きゃっきゃと騒ぐ双子に手を引かれ、少女は店の奥の浴室へと消えていく。  それを見送ったオヤッサンが急に真顔になり、 オヤッサン:覗いたら‥‥殺す。  本物の殺気をラサに叩き込む。  しかし、彼は突っ伏したまま、右から左に聞き流し、 ラサ:こんな天気の日はダラダラすんのに限るな‥‥。  少し顔をあげて、もう一口水を飲んだ。  その瞬間、閃光。 効果音:《DooooooooNッ!!》 双子&リル:キャー! オヤッサン:おい、大丈夫か!  オヤッサンが、慌ててカウンターを飛び越え、扉を叩く。  危うく開けそうになるが、寸での所で思い留まって、何やら首を振っている。 興味ナシなラサ:こりゃ近くに落ちたかもな‥‥?  天窓を見上げるラサ。  今度はクロウが大きな欠伸をした。
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