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傀儡(キフラス)
外出から戻ってきてから、レーティスの姿が見えない。ハクインとリオガンの行方も分からなかった。
嫌な予感がする。キフラスはすぐにルースの部屋を訪ねた。何かするとしたら、こいつしかありえない。
「ルース!」
睨み付けるように部屋に入れば、ルースは涼しい顔をしている。側にはブレアという腹心の男だ。両方、気にくわない。
「おや、どうしました?」
「…とぼけるなっ」
胡散臭い綺麗すぎる笑みを見て確信した。こいつがやったんだと。
「レーティスをどこにやった」
「おや、私は知りませんが」
「とぼけるな!!」
チェルルが死んだ。ハクインとリオガンの行方も分からない。このうえ、レーティスまで……。
なぜ、こんな事になってしまったんだ。転落がどこからかは分かっている。だが、ここまで落ちて仲間がバラバラになってしまったのは、こいつに関わってからだ。
ルースは溜息をつく。そして、側に立つブレアを見上げた。
「ハクインとリオガンについては、騎士団によって捕まったか、死んだという報告があります」
「聞いた。ベルーニの町周辺で、騎士団とおぼしき集団が二人の若者を囲ったと」
「その通りです。騎士団が……」
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