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「うん。でも、直ぐにとはいかない。今用意できた分も大事に使わないと」
「えぇ。とりあえず、これで今を乗り切れます」
エリオットも明らかにホッとした顔をする。その様子に苦労が多すぎた。
「これからは僕も医者としてここにいるから、エリオットさんは少し休んで。正直医者にあるまじき不健康な顔色してる」
「兄上!」
「休んで、寝て、それから。その間は僕が見るから」
ハムレットのあまりに不躾な言葉にランバートは怒るが、エリオットの方は苦笑してランバートの肩を叩いた。
「確かに、疲れています。正直、薬が届いたと聞いてホッとしてしまって」
そう言った人は本当に青い顔をしている。寝ていないのか、目の下に隈がある。オリヴァーが支えて、砦の中へと入っていく。
「さて。荷物の搬入終わったら患者のカルテ見て、往診するよ」
ハムレットが途端に医者の顔をする。その側で、チェルルは助ける様に動いている。
ランバートはそれを見て、なにも言わずにその場を去った。
その夜、寝付けずに砦の中を歩き回っていたランバートは、庭の一角で同じように寝付けずにいる人を見つけた。
ふと、懐かしくなる。恋人になる前は、こうして二人修練場に並んで月を見上げていた。
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