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「それなら、迎え撃つ準備をしておく。アルブレヒト太子を助けるのは、彼の王子に政権を奪取してもらい、その後、和平同盟と国交を結ぶ狙いがある。尚且つ、国同士の争いよりはジェームダルのお家騒動に帝国が後ろ盾につく。この方が対外的にも侵略戦争より見栄えがいい」
「利害はあるってことだね」
ハクインも納得したらしく頷いた。そして、リオガンもこれで安心できた。タダより高い物は無い。こうした時、親切を振りかざして近づいてくる奴は危ない。それよりはしっかりした交渉である方がいい。
「安心したかい?」
「うん」
オスカルがからかう様にリオガンを見るから、素直に頷く。
それが面白いのか、オスカルは楽しそうにしている。何だろう、嫌じゃないけれど……遊ばれている感じがする。
「ただこちらも、国内が落ち着かないまま動く事はできない。幸い、国内のテロリストは大方駆逐され、ルースを残すばかりだ」
「それについては全面的に協力するよ。だから、レーティスとキフラスを助けて。二人は……本当はそんな、悪い人達じゃない」
「分かっている。ダンからも陳情があった。頭など下げてこなかっただろう奴が、土下座までするんだからな」
「ダンクラート隊長……」
ハクインの手に力が入る。ちょっとだけ、嬉しそうだ。
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