宣戦布告(リオガン)

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 ダンクラート隊長は強く隊を率いてくれる隊長だった。どんな時も希望を捨てない人だった。その隣にはベリアンス様がいて、冷静に隊長の無茶を叶える作戦を考えたりしていた。実働はキフラスが、後方をレーティスが、先鋒をリオガン、ハクインが、そして諜報をチェルルが。  懐かしくて、泣きたくなる。途端に寂しくて、会いたくなった。 「前線は、何か変化はあったか?」 「…兵が動いてるみたいだって、出る間際に報告入った。ルースの拠点はジュゼット領リリー。そこから、兵が出て行くのを確認したって」 「リリーか」 「流石に領都では活動できないからね」  ジュゼット領の領都よりは帝国寄り。この王都からだと、一週間と少しだろうと思う。 「ファウスト、動けるか」 「とりあえず、ベルーニまで人を動かす、陸路と海路の両面で人を運ぼう」 「分かった。お前達は暫くこの屋敷で過ごしてくれ。ここはとある医者の私邸で、了承は取っている。リオガンの傷の手当てもしてくれる」 「俺は手を貸す! って言っても、情報収集くらいしか出来ないけれど。でも、出来るだけ早く精算しておかないと、後々間に合わなくなるし」 「分かった」  ハクインは動くらしい。少し心配だけれど、無理はしないと言ってくれたから、信じる。 「さて、とりあえず今はここまでか。ハクイン、動く前にここの家主に言ってからだ。そこから騎士団に連絡が来る事になっている。それと、無理はするな」 「分かった」 「じゃ、引き上げかな。お二人さん、ここの家主によろしくね」     
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