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三人は腰を上げる。そうして出て行く三人と入れ違いに、一人の青年が入ってきた。
淡い栗色の髪に、青色の瞳をしたその人は、後ろの人を連れていた。
「あ……」
呟いたハクインの目に、見る間に涙が浮かぶ。そしてリオガンも、嬉しくて思わず立ち上がりそうになった。
「ハクイン、リオガン」
「チェルル!!」
泣きながら駆け寄ったハクインを、チェルルは受け止めた。よかった、顔色が前よりもいいと思う。元気そうだ。
「チェルルぅ」
「もぉ、そんなに泣かないでよ。なんか……そんおかしそうに見ないでよ、先生」
「いや、だってさ。黒猫くん、慕われてるね」
家主らしい栗色の髪の人が笑っている。なんだかとても仲よさそうだ。
「さて、僕の屋敷にようこそ二人とも。僕はハムレット・ヒッテルスバッハ。ここに居る間は僕のいうことを聞くように。特にリオガン、君はまだ怪我人だからね」
「先生?」
「医者だよ」
青色の瞳がこちらを見る。なんだか……エリオット先生の優しさが恋しくなってきた。
「リオガン、怪我したんだって? 大丈夫か?」
「うん、大丈夫」
「先生、容赦ないから言うこときけよ」
「猫くん、君もまだ人の事言えないでしょ。美味しくない料理、追加しておくね」
「えぇぇ!」
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