傀儡(キフラス)

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 そんな事、絶対にさせない。幼馴染みで、共に今まで戦ってきたんだ。本当は誰よりも優しく、争う事に心を痛める奴なんだ。そんな……どうしてここまで落ちてきたんだ。 「キフ……ラス」 「レーティスっ」 「だめ…です。お願い、私は……」  辛そうにしながら、泣きそうに言う彼を見て、どうして捨てられる。今はもう、二人だけだ。他の仲間も失われてしまった。主も……生きているのか分からない。  キフラスはルースを睨み付ける。だが、剣から手を離した。それだけで満足そうに、綺麗な口元に三日月のような笑みを浮かべた。 「賢明な方です」 「これ以上レーティスに薬を使ったら…」 「分かっていますよ」  満足そうな極上の笑みを浮かべ、ルースは早速地図を出す。そして、キフラスへと当然の様に命じた。 「兵糧の道、行軍の道を分断します。今すぐ兵を配備してください。ベルーニから港へと続く道筋と、ベルーニからここ、ジュゼット領リリーまでの道に兵を伏しておいてください。騎士団の行軍を分断しますよ」 「お前はどうする」 「私達はこの屋敷で、客人を招いて見ています。上手く騎士団を叩ければ、貴方達を解放しましょう」  大軍に、大軍をぶつけようというのか。行軍や退路を断つような奇襲はほぼ、生きて帰る事を念頭に置かないものだ。     
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