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ハクインは途端に泣きそうな顔をして駆け寄ってくる。そして、ギューッとリオガンの頭を抱き寄せた。
「死なせないから、絶対! だからそんな悲しい事言わないで」
「ハクイン…」
「リオガンを一人で死なせたりしないよ!」
リオガンの頭を抱きしめているハクインは分からないと思うが、待ち人が丁度入ってきたのだ。そして、体をくの字にして笑っている。恥ずかしくていたたまれない。
「仲良しだね、二人とも」
「!!」
「なーんか妬けちゃうなぁ。僕の恋人は遠くベルーニ」
「オスカル、からかうな」
オスカルの後から入って来たファウストとクラウルが呆れた顔をしている。
一方のハクインは恥ずかしげに顔を真っ赤にして口をパクパクさせている。リオガンは頭をなでなでして、オスカルへと向き直った。
何を言ったらいいのだろうか。この人を殺そうとしたのはリオガンだ。あの男が所望したエルの女性をチェルル達が連れてこられなかった。怒ったあの男が癇癪を起こしてレーティスに暴力を振るって、それを収めるのに何か事を起こさないとと思ったんだ。
それでハクインと二人、王都に入って事を起こした。建国の祭事を穢した事を、あの男はバカみたいに喜んでいた。
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