宣戦布告(リオガン)

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「まぁ、二度目は許さないからよろしく。エリオットに手を出したら、今度こそ僕は君たちを殺すから」  ……前言、訂正。優しいかもしれないけれど、怖い人だ。 「纏まったか?」  見ていたクラウルが様子を見計らって声をかけてくる。オスカルは振り返って頷き、ハクインはリオガンの車椅子を押してソファーセットの方へと向かってくれた。  改めて、こんな形で向き合う事を想像していなかった。リオガンの隣りに座るハクインは緊張に震えていた。でも、強い目をしている。  大丈夫、ハクインはちゃんと思う所を言える。  口下手なリオガンを小さな時、いつも助けて庇ってくれたのはハクインだった。なにも言わない事で誤解の多いリオガンを助けてくれたのは、ハクインなんだ。  そっと、手に触れた。驚いたようなハクインがこちらを見たから、頷いた。大丈夫、できるって気持ちを込めて。そうしたら、手の震えは消えた。 「さて、改めて。ハクイン、リオガン、お前達の立場は帝国に弓引く犯罪者だ。身柄は騎士団預かりとなる」 「はい」 「だが、エリオットからも多少聞いたかもしれないが、お前達の事情はダンから陛下へも報告され、陛下も気に病んでいた。そこで、取引をする事で減刑とする」 「取引?」 「こちらに協力し、アルブレヒト太子奪還の為に力を貸してもらう」     
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