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いつも電車で、俺の向かいに座わる男。
どうも俺は、そいつのことが気になるのだ。
何がと聞かれれば返答に困るのだが、とにかく気になる。
草臥れたスーツを着て、疲れのせいか濁った目でスマホを見る男。
俺の会社の最寄り駅で降りても、そいつはまだ先の駅へ行くようだ。
平日はそいつの行き先なんて、突き止められない。
だが幸いなことに、今週の金曜日は年休を取らせていただいた。
少々もったいない気もするのだが、その日はそいつがどこへ向かうのか、突き止めようじゃないか。
俺はそう思い立ち、普段よりも軽い足取りで俺の勤める会社へと足を向けた。
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