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そして、金曜日の朝がやってきた。
やはり何かしらの目的を持って過ごす日々は、早く過ぎ去っていくなぁ。
俺はそんなことを考えながら、いつもの時間の電車に乗る。
毎日同じような場所に座っているそいつの姿を確認して、俺は普段とは違う場所に座った。
「次はー、……駅。……駅です」
妙に間延びしたアナウンスが、俺が毎日利用する降車駅の名前を告げる。
それを聞いて俺は――長年の習慣のせいだろう――無意識のうちに立ち上がり、ホームへと降りてしまった。
くそっ、これじゃあ、問題は一切解決していないじゃないか。
俺は仕方ないと腹をくくり、自動販売機に硬貨を数枚入れる。
ボタンを押すと、ガコンと音を立てて、お茶の入ったペットボトルが取り出し口に落ちる。
それを取ろうと身をかがめたとき、俺の肩を叩く人物がいた。
何か物を落としただろうか。
俺は背後を振り返って、ひゅっと喉を鳴らした。
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