ステンレスの影

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 全ての人間が完璧ではない。そんな人間がいることを世間は守っている様でそうではない。隠蔽するのだ。生れながらも成長してからも障がいは普通に人生を送っている人には理解しがたい『見えない』ものなのだ。個性と言う本音と建前の嘘の中に染められた世界に生きている。  一応、モデルと言う仕事に就いているが結局のところは親の元で仕事している。  『せっかく学ばれていますから…』  野うさぎがいつも口うるさく言う台詞に心を揺らいだ。勉強はしているが今まで他人の為にはやっていなかった。そういう人間がこの世にどれだけいるだろう。2、3年学んだ事を述べてみたい気がした。心理に間違いはない筈。年を超える度に精神論は変わっていくのだ。  甘えを主張するつもりはない。ジェレミ、私みたいな人間がいることを知ってほしい。それに、父さんみたいに障害を越えて手に職を持っている人になれるなら・・・。そう考えた矢先に二階からバタバタと慌ただしい音が聞こえた。もう、20時だ。  「あ、起きたみたい」  ジェレミは階段のある方に顔を向けた。  「ごめん、ごめん!今から夕飯作るから!」  父さんは慌ただしく冷蔵庫の中を確認してこれとこれがあるから…とブツブツ言って勢い良く立ち上がり兄妹に向かってメニューを聞いた。  「鶏肉と野菜があるけど何が良い?」  兄妹は一度顔を見合わせてから同時に言った。  「野菜スープ」  「唐揚げ」     
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