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あの時の看護婦の顔はと発言はとても冷たかった。
「あら、嬉しい」
「何故そんなことを聞くの?」
「いやぁ、気になるじゃない?だって…」
看板の【sable】の看板が揺れた。クロエは美容室を出てていつも通り見送りに佐藤も外に出た。佐藤はドア越しにクロエに問いかけた。
「今日はありがと。また写真出来たら行ってね。楽しみにしてるから」
「あーうん、確か写真集出すって言ってたから見本持ってくるかも。でも、どうせ買うんでしょ?」
「ウフフ、勿論よ。雑誌に一枚載ったって買うわ」
「あんたって変な人」
佐藤は微笑みながらバイバイと手を振ってクロエを見送った。
季節柄、夕陽に差し掛かった時間帯。クロエは線路脇の坂道を登りながらさっき佐藤に言われたことを思い出していた。
『だって、【欠点が綺麗】だなんて羨ましいじゃない』
その言葉がいつも解らないままだった。クロエは自分の眼の色と体質に悩んでいた。眼の色が綺麗だとしてもハッキリと見えるモノがグロテスクに見えるのだ。持っていても仕方がない無価値な宝石の様なモノ。その為、目を覆うため前髪を長く残し、アルビノに近いように色を持たない髪色に染めている。
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