ステンレスの影

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 「例えば、子供の心理とかを知るために保育士は子供たちの絵を見てその子たちの心理を見る。カラフルなら正常。黒や特定の色なら何かしらの不安やストレスを抱えてると考える。色彩と別で構図も見る場合もあるけどね。それはそれで子供たちの危機を救うためには必要ね。でも、問題は世間一般、人は色彩にこだわる。『大人』よ。子供が好きで『黒のクレヨンで絵を描いてたとしたら、大人はダメ出しを言う。『何故、色がないの?』って少し敏感になるのよ。例として、兄妹に色彩にあるのは私だけ。だけど、その色も綺麗だと言われても見えるモノは残酷だから結論から言うと【嘘】」  「ほう、それで?」  「雑誌、CM、広告等、解りやすく言うと『求人誌』がベストかな。アレは良いように店の働きやすさをアピールするため、画像は華やかに、文章もどこかのライターに頼んだり。でも、ネットで画像や動画のPR見せてたりするけど、実際にその店舗で働いている人じゃなかったり、使い回しの商業写真使ったりといかにも『待遇の良い店』と着飾る。でも実際行ったらそうでもなかった。パワハラ、セクハラ、待遇詐欺、金銭問題。あらゆる点で【嘘】を世間に広めている」  クロエは長い説明を終え、マドラーでかき回していたモヒートを口に含んだ。  「まぁ、店や会社、感じ方はそれぞれだけどね」  「要するに、【無色透明に見える液体に専用の薬品を入れたら毒という嘘だった…】ってことですかね?」  「ご名答。もっと簡単に説明したらそうね。透明と言えど成分上に色彩という嘘が込められている。私の眼だって上面は綺麗だと言われても他人に移植したらガッカリするよ。だから、色に惑わされない方が良い」  「それは実体験だったりします?」  「高校の時に一度バイトしたことあるけど嫌と言うほど痛感した」     
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